高性能なスマホは10万円を超えるものもでてきています。
10万円を超えるモノについては、経理処理にあたっては神経を使うことになります。
10万円未満のスマホは、少額減価償却資産として1年で経理上費用化できます。
10万円超20万円未満の場合は、3年間で均等に費用化できます。
加えて、青色申告であれば、少額減価償却資産の特例として1年で費用化も選択できます。
したがって、あまり減価償却資産としてスマホの耐用年数を意識することがありません。
実務上ホントどうでもいいのですが、スマホの耐用年数を考察してみます。
♦目次♦
実務的な取扱い
所得税では必要経費、法人税では損金経理といいます。
10万円未満の場合
全額必要経費又は損金経理
10万円以上20万円未満の場合
3年間で均等額を償却、あるいは耐用年数による、青色申告であれば全額必要経費又は損金経理が可
20万円以上30万円未満の場合
耐用年数による、青色申告あれば全額必要経費又は損金経理が可
理論的な耐用年数の検討
採用候補となりそうな耐用年数
耐用年数省令別表第1(抜粋)
種類 | 構造又は用途 | 細 目 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
器具及び備品 | 事務機器及び通信機器 | 電子計算機/パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)・・・① | 4年 |
その他の事務機器・・・② | 5年 | ||
電話設備その他の通信機器/デジタル構内交換設備及びデジタルボタン電話設備・・・③ | 6年 | ||
電話設備その他の通信機器/その他のもの・・・④ | 10年 |
用途細目へのあてはめ
巷では、①の4年、④の10年の比較で議論されていることが多いようです。
直感的に④の10年はナイな(笑)と思うところですが、理論づけてみます。
まず、③(6年)はビジネスフォンがあてはまります。
④はハブ、ルーター、リピーター、LANボードがあてはまります。
仮に③と④の比較ですと、③の方がスマホの通話機能という観点では類似します。
では、スマホのパソコンに代わる機能という観点に着目すると、①があてはまります。
スマホだけで仕事ができる職業、職種も世の中にはあるかと思います。
しかしながら、我が会計税務の業界では、事務処理がスマホだけで完結させることがほぼ無理といった状況で、どうしてもパソコンが必要になります。
したがって、個人的にはスマホがパソコンに代わる事務機器として①を採用するには疑問があります。
最後に②(5年)の可能性はないのか?と検討します。
例えば、オンラインシステムの端末機器は②に該当します。
耐用年数の適用等に関する取扱通達
2-7-7(オンラインシステムの端末機器等)
いわゆるオンラインシステムにおける端末機器
又は
電子計算機に附属するせん孔機、検査機、カーボンセパレーター、カッター等は、
別表第一の「器具及び備品」の「2事務機器及び通信機器」の「その他の事務機器」に該当する。
オンラインとはインターネットに繋がっている状態です。
スマホは、インターネットに接続できる常態の端末です。
したがって、巷にあふれる情報としては少数派になりますが、個人的には②が一番しっくりきます。
スマホのビジネス上の利用目的、触っている時間を考慮すると、端末機能②>事務機能①>通話機能③の順で使用されているのが実情ではないでしょうか。
複数の用途がある場合の耐用年数の考え方
複数の用途がある場合、次のように考えます。
耐用年数の適用等に関する取扱通達
1-1-1(2以上の用途に共用されている資産の耐用年数)
同一の減価償却資産について、
その用途により異なる耐用年数が定められている場合において、
減価償却資産が2以上の用途に共通して使用されているときは、
その減価償却資産の用途については、
その使用目的、使用の状況等より勘案して合理的に判定するものとする。
スマホについては、電話としての通信機能、インターネットを利用する端末機能又は事務処理機能のうち、どの用途に専ら使用されているかということを合理的に判定すればよいことになります。
すると、通信機能というよりは、インターネットを利用した端末機器として操作している時間が長い傾向にあります。
したがって、個人的には、スマホの耐用年数は「その他の事務機器」の5年を適用すべきと考えます。
まとめ
個人的には、スマホの耐用年数は「その他の事務機器」の5年を考えているところです。
とは言っても、スマホは3年で買い替えが推奨されていますし、巷では税務上の耐用年数は4年の声が大きいです。
仮に、スマホを耐用年数による償却をしなければならない場合は、自己の判断でお願いします。