定期積金は、都市銀行、地銀ではほとんど扱われておらず、信用金庫を代表する商品になります。
一昔前は、信用金庫が定期的に顧客を訪問することで、関係構築を図っていたものでした。
その際に定期積金の集金をすることが、日常業務の大きなウエイトと占めていたとか。
さておき、定期積金の満期時に給付補填金を受け取ることがあります。
受け取る側の経理処理は、多少面倒です。
そこで、この記事を最後まで読んでいただければ、定期積金の給付補填金の経理処理のすべてが網羅できるはずです。
♦目次♦
定期積金の給付補填金の法的性質
定期積金の給付補填金は、普通預金・定期預金の利子と同じようですが、法律上は異なる分類がなされます。
普通預金・定期預金が片務契約であること
普通預金・定期預金は、預金者側に特定の義務がなく、預金の預け入れは自由意志によるものです。
一方で、金融機関側は預金の返還義務を負うため、片務契約に分類されます。
定期積金が双務契約であること
定期積金は、契約者が定期的に一定額を積み立てる義務を負います。
一方で、金融機関は契約期間満了時に元本と利息を支払う義務を負います。
契約者と金融機関が双方に義務を負うため、双務契約に分類されます。
小括
このように、契約上の違いから定期積金の給付補填金は、普通預金・定期預金の利子とは異なる性質とされます。
また、定期積金契約において給付補填金は、預金者が一定の満期時の給付額を確保できるように、義務履行のための金融機関側の調整手段として機能していることからも、利子所得とは性格が異なっています。
所得税上の取扱い
所得区分
個人の方が受け取る定期積金の給付補填金は、利子所得ではなく雑所得に区分されます(所得税基本通達35-1(3))。
ところが、定期積金の給付補填金は、源泉分離課税として一般の利子所得と同様の取扱いになります(租税特別措置法通達41の10・41の12共-1)。
つまり、個人が確定申告する上では、申告不要になります
源泉所得税の取扱い
一般の利子所得と同様に以下の区分に応じて、源泉所得税が課されます。
- 個人が受け取る場合・・・所得税15.315%、地方税5%
- 法人が受け取る場合・・・所得税15.315%
消費税上の取扱い
定期積金の給付補填金を受け取った場合、消費税上の課税売上・非課税売上の判定では、非課税売上に該当します(消費税基本通達6-3-1(6))。
法人税の申告上の取扱い
定期積金の給付補填金から控除された源泉所得税は、法人税申告書において、所得税額の控除を受けることができます。
法人税別表6(1)所得税額の控除に関する明細書の5「その他」の欄に記載します。
会計処理上の結論
個人の場合
個人が定期積金の給付補填金を受け取った場合は、会計ソフトによって勘定科目の名称は様々ですが、損益計算書に影響しない勘定科目を使用します。
- 事業主借(又は店主借)
法人の場合
法人が定期積金の給付補填金を受け取った場合、勘定科目はどうするか?
個人的な見解を示します。
- 受取利息 × (理由)利息(利子)とは法律上の性質が異なるため
- 雑収入 〇 (理由)消去法的理由から穏当なため
- その他営業外収益 〇 (理由)損益計算書上に雑収入とは別建てして表示することで注意喚起を促し、法人税別表6(1)への転記を忘れにくくするため