国税庁 確定申告の違法状態を40年以上放置か?
2021年11月7日、産経新聞、ヤフーニュース等により国税庁のお粗末な事態が知れ渡ることになりました。
このニュースは、国税庁が税制優遇措置を受けるのに必要な書式様式を用意していなかったことを報じたものです。
優遇措置とは、経営セーフティ共済の必要経費算入を認めることです。
ただし、優遇措置を受けるためには、確定申告書に経営セーフティ共済の掛金の支払状況を記した明細書を添付するが条件になっています。
私が所属する税理士会U支部は、U税務署から「経営セーフティ共済」の明細書の雛形を周知されていました。
所轄税務署とその税理士会支部によって、周知の程度は差があるかと思います。
また、中小機構のホームページにおいても経営セーフティ共済の掛金を必要経費に算入するための雛形例が周知されています。
中小機構>経営セーフティ共済>Q 掛金を必要経費に算入するには、どうすればよいですか
それでも、税理士の関与すらない納税者ですと、確定申告書に明細書が必要なことに気づくことは難しいと思います。
個人的に経営セーフティ共済について確定申告に必要な明細書が用意されていなかったことは、不満に思うことのひとつでした。
まだまだ、確定申告書に係る明細書の不備はありますけど・・・。
♦目次♦
会計検査院の指摘の概要
経営セーフティ共済の掛金を必要経費にできる税制上の優遇措置がある。
優遇措置を受ける場合には、確定申告書に掛金の明細書を添付するように租税特別措置法に明示されている。
会計検査院が1,600人をサンプル調査したところ、906人には明細書の添付がなかった。
国税庁が所定の明細書を定めていなかったため、多くの申告不備が発生したとみえる。
それゆえに会計検査院は、国税庁に対し改善処置を要求した。
違法状態?根拠法令の確認
(特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例)
租税特別措置法第28条第2項
前項の規定は、
確定申告書に同項に規定する金額の必要経費に関する明細書の添付がない場合には、
適用しない。
ただし、当該添付がない確定申告書の提出があった場合においても、
その添付がなかったことにつき
税務署長がやむを得ない事情があると認める場合において、
当該明細書の提出があったときは、この限りでない。
書類不備にも関わらず、税制の優遇措置を受けている納税者が多いことをメディアは違法状態、国税庁の怠慢と喧伝しています。
国税庁の対応
会計検査院の指摘を受けた後に、国税庁は2021年6月、「経営セーフティ共済」の掛金明細書の書式を作成し、ホームページに下記の通達を掲載しました。
「『個人課税事務提要(様式編Ⅰ)』の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
この通達を見ただけでは、経営セーフティ共済の必要経費算入に必要な書式が整備されたことがサッパリ分からないと思います。
この通達から直接その明細書を探すのは難しいので、以下のリンクを貼っておきます。
特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
ひとこと
おそらく、今回の報道が出て「経営セーフティ共済」の掛金明細書が新設されたことを知った税理士がほとんどなのではないでしょうか。