コロナ禍が収まらず再び緊急事態が宣言され、企業にテレワーク7割実施を求める今日この頃です。
そんな最中、令和3年1月15日国税庁ホームページに「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されました。
昨夏から在宅勤務に係る通信費等支給に関する給与課税の取扱いが話題になっていました。
令和2年の年末調整事務が終わった直後の発表でしたので、少し遅い感があります。
今回は公表されたFAQを簡単にまとめます。
♦目次♦
国税庁公表「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」の要旨
在宅勤務手当
原則的に在宅勤務手当は、給与課税の対象となる。
つまり、在宅勤務手当は、源泉徴収の対象となる。
ただし、実費相当額を精算する場合は、給与課税しない。
この場合、在宅勤務手当は、源泉徴収の対象とはしない。
例えば、渡切在宅勤務手当(毎月一律定額を支給するもの)は、上記原則を適用する。
以下、例外である給与課税にならない場合についてFAQは進んでいきます。
在宅勤務に係る事務用品等の支給
事務用品等の支給を受けた従業員等が、その事務用品等を自由に処分(廃棄等)できるケースは、給与課税の対象となる。
一方で、自由に処分できないケース(返却、買取強要など)については、その事務用品等の所有権は企業にあり、あくまで「貸与」という形だから、給与課税の対象とはならない。
業務使用部分の精算方法
以下在宅勤務手当の給与課税を避けるための方策になります。 あくまで、実費相当額は給与課税されないわけですから、従業員が負担した額を企業が精算することが必要になります。 業務使用部分を実費相当額として精算する方法は、いわゆる会社で行われる経費精算と同様に「仮払経理方式」と「立替払い方式」の2つになります。
従業員へ貸与する事務用品等の購入
①企業が「仮払経理」する方法・・・企業が従業員に対して、「仮払事務用品費」を預けた後、従業員が業務のために使用する事務用品等を購入し、その領収書等を企業に提出し、その購入費用を精算する
②従業員が「立替払い」する方法・・・従業員が業務のために使用する事務用品等を立替払いした後、領収書等を企業に提出し、後で企業から精算を受ける
通信費・電気料金
①企業が「仮払経理」する方法・・・企業が従業員に対して、「仮払」を預けた後、従業員が負担した通信費・電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し、その計算した金額を報告して精算する
②従業員が「立替払い」する方法・・・従業員が負担した通信費・電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し、その計算した金額を報告して精算する
通信費に係る業務使用部分の計算方法
通話料
業務のための通話に係る料金は、通話明細書により確認。
ただし、以下の事項とまとめて、算式による方法でも差し支えないとされる。
電話料金の基本使用料・インターネット接続に係る通信料
業務のために使用したもの = 1ヶ月分のその負担料金 × 1ヶ月の在宅勤務日数 ÷ 該当月の日数 × 1/2
上記算式は一例にすぎず、より合理的と思われる算式があれば採用してよい。
レンタルオフィス
在宅勤務をするスペースがない従業員が、自宅近くのレンタルオフィス等を利用した場合においても、そのレンタルオフィス代等について上記「仮払経理」「立替払い」されたものは、従業員に対する給与課税はされない。
FAQに対して思うこと
内容としては、基本的な税の考え方に沿ったもので、驚くようなものはなかったです。
ただ、あまりにも硬直的なもので、給与計算事務を担当する者にとっては頭が痛いというところではないでしょうか?
原則は給与課税としつつも、FAQで非課税となる抜け道が公表されたことになります。
非課税にするには面倒な事務処理が必要になります。
従業員には申し訳ないですが、労働生産性という観点から、企業側としてはあえて導入しないという選択もあるのではないでしょうか?
もう少し簡素な取扱いを認めるべきだと個人的に思います。