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先日、さいたま市役所での市民相談室(税金)の相談員を担当しました。

相談員としてご相談を受ける立場から思うところがあります。

市役所等での無料相談の舞台裏

さいたま市での市民相談は午後からでした。
相談時間は一人25分です。
当日の午前中に相談概要のFAXが送られてきました。

当日の午前中ですと、さすがに相談分野の知識整理・確認、類似例の調査など事前準備するには時間が足りなすぎます。
そもそも無料の市民相談は、早い時期から相談予約は埋まっているはずです。
一週間前には、事前に通知することが可能なはずですから、市役所の職員の配慮の足りなさに少し苛立ちを覚えてしまいました。

気を取り直して、FAX紙面の相談概要を確認しました。

「相続税について」×3「贈与税について」「青色申告について」・・・

単純なタイトルだけですので、具体的な相談内容はさっぱりわかりません。

実は、3日前から近年改正が続いた相続税の小規模宅地等の特例に絞って3回転復習してきましたが、今回は無駄骨に終わりました。

さて、前置きが長くなりましたが、担当者側の困った点は、相談者側にとってもデメリットでしかないです。
なぜなら、日常の業務と比べても相談者の期待に応えるのが難しくなっているのですから。

担当する税理士が困っていること

  • 相談担当者にとって、事前準備が不足すること
  • 相談の場で専門書などの備え付けがないこと
  • 仮に、該当する専門書を担当者が持ち込んでいたとしても、限られた相談時間内で調べものをするのは厳しいこと

時期的にコロナ禍のため、通常の対面による相談ではなく、電話での相談になりました。
そのため、さらに通常の相談より困難になりました。

  • 相談内容と関係する書面を視認できないこと
  • 相談者の表情を読み取れないこと
  • 電話ゆえに音声聞き取りが難しい瞬間があること

耳からだけの情報ですと、どうしても情報が限定されてしまいます。
特に税理士として注意したいのが書面からの情報です。
結局、回答する立場としては、書面確認ができない以上、明確な回答をするのが難しくなってしまいます。

相談者側が受け入れるしかないデメリット

無料相談を実施する市町村によって違いはありますが、さいたま市の場合は以下のようになっているようです。

  • 1回の相談は25分間(予約制)
  • 相談日の開設が少ない(平日夜間、土日は開設していない)
  • 一人につき年に1回だけしか利用できない

無料相談を受けられる機会は少ないです。
相談開設日は少なく予約制ですので、日時の融通はききません。
平日午後で予約制となりますと、お仕事をしている方が都合をつけるのは難しい場合が多いでしょう。

短時間の相談時間中に、相談事項が解消できるかというと難しいかと思います。

と言うのも、相談者と相談を受ける側にも、相性がよくない場合があるからです。

相談したい事柄について、その相談分野に強い税理士とは限らないこと

これが一番大きいと思います。
税理士といっても、税務全般に精通しているかというと、そうでもありません。
特に市民相談ですと、主な相談は所得税、相続税、贈与税になります。

所得税を例にあげても、所得税は範囲が広く、複雑な税制になっています。
しかも年1回の確定申告の時期だけなど業務に触れる機会が少ないのです。
そういった事情もあり、所得税を苦手とする税理士が多いのが実情です。

当日担当となる税理士は、直前まで相談概要を知りませんので、相談に対して十分な回答をすることは難しくなります。

結局のところ、市民相談は運次第になってしまいます。

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まとめ

以下市役所での無料相談を利用する相談者側に念頭に置いて欲しい事をまとめます。

市役所での無料相談のデメリット

  • 無料相談を受けられる機会、時間は限られていること
  • 無料相談の時間内にお悩みが解決しない場合、また時間を費やす必要があること
  • 無料相談を利用してみて自力で解決しないと判断した場合、その場で専門家に依頼できないこと(また時間を費やす)

時間をかけすぎると手遅れになってしまうことがあります。
税金の書類は、期限が決まっていますし、期限内を条件にしている税金の特例もたくさんあります。
特に自力で対処するのが難しいと判断された場合は、あらたに専門家を探す手間がかかりますし、受託する専門家の方も時間的余裕がなければ、お引き受けが難しくなってしまいます。

市役所での無料相談を利用する心構え

  • 時間内に解決したい疑問点は3点に絞る(その他の疑問点は優先順位をつけておく)
  • インターネットで解決できる疑問点も多いので自力で調べてみる
  • 直接税務署に尋ねた方が早い単純な事柄も多いため、無料相談の日まで待つ必要があるか検討する

筆者が感じたことですが、その程度の疑問は、いくらでもネット上に情報として落ちているということです。
加えて、税務署は納税者に有利なこと(税金が少なること)については積極的に教えてくれないといった話もありますが、税務署に相談しずらいといった事柄でもないことが多いことです。

無料相談では、おそらく解決できない相談内容を知っておく

最後に市役所での無料相談では解決が難しい内容についても触れておきます。
この場合は、有料のケースが多いと思いますが、専門の事務所にご相談されることをお勧めします。

まれに日本国外出身の方のご相談もあります。
日本国内外の税金が絡む国際課税については、無料相談を担当する街の税理士にとって自身の業務とは一生無縁でしょうから、市役所の無料相談の場で解決することはまずないと思います。

過去には専門書に掲載されていない特殊な事象のご相談もありました。
レアケースの金融商品関係の税務相談にお答えするのは難しいと思います。