7月10日は、源泉所得税の納期期限でした。
「源泉所得税の納期の特例」を利用しているクライアントは多いため、その個々の対応に税理士事務所は忙しいです。
忙しい時期を過ぎて、ホッとしている間に、毎年どこかのクライアントから納付を忘れたと連絡があります。
「納付を忘れてしまったのですが、延滞税はどのくらいかかりますか?」
「御社の場合は、少しくらい遅れても延滞税はかかりませんよ~」
しばらくは、こんなやりとりが行われます。
そこで、今回は、源泉所得税の延滞税について解説します。
♦目次♦
不納付加算税の検討
実は延滞税の話以前に、不納付加算税というものがあります。
まずは、今回納付すべき源泉所得税が10万円以上か、未満か、を確認。
10万円以上だと不納付加算税5%が課されます。
ただし、過去1年間の間に本来納付すべき源泉所得税の期限内納付に遅れたことがなく、かつ、今回の納付を1月以内に済ませている場合は、不納付加算税は免除。
10万円未満の場合は、不納付加算税は免除。
1ヵ月を過ぎても今回納付すべき源泉所得税を納めないままにしておくと、そのことについて税務署から連絡が来る場合があります。
・納税者(=源泉徴収義務者)に源泉所得税についてのハガキが到着した場合
・納税者(=源泉徴収義務者)の顧問税理士に電話で源泉所得税について連絡してきた場合
これらの場合は、不納付加算税10%が課されてしまいます。
したがって、まずは源泉所得税は遅れても1月以内には納付することを心がける。
延滞税の検討
次に、延滞税がどの程度かかるか。
2月以内に納付した場合
【延滞税の計算式】
Ⅰ ①納付すべき本税の額 × ②延滞税の割合 × ③日数 ÷ ④365 = ⑤延滞税の金額
※注意
①10,000円未満の端数は切捨て
②年によって変動(後述)
③法定納期限の翌日から完納の日
④うるう年(366日)であっても365を使用
⑤1,000円未満は切り捨て、それ以外の場合は100円未満切捨て
2月を超えて納付した場合
2月以内に納付した場合と若干違う箇所があるので、その箇所を黄色にします。
【延滞税の計算式】
Ⅰ ①納付すべき本税の額 × ②延滞税の割合 × ③日数 ÷ ④365 = ⑤延滞税の金額
※注意
①10,000円未満の端数は切捨て
②年によって変動(後述)
③2月を経過する日
④うるう年(366日)であっても365を使用
⑤1円未満の端数切捨て
Ⅱ ①納付すべき本税の額 × ②延滞税の割合 × ③日数 ÷ ④365 = ⑤延滞税の金額
※注意
①10,000円未満の端数は切捨て
②年によって変動(後述)
③2月を経過する日の翌日から完納の日
④うるう年(366日)であっても365を使用
⑤1円未満の端数切捨て
Ⅲ Ⅰ + Ⅱ = 延滞税の額(100円未満切捨て)
延滞税の割合とは?
延滞税の割合には、特例基準割合を使用します。
特例基準割合は、毎年12月15日までに公表され、その翌年については、その特例基準割合が使用されます。
【延滞税の割合】
Ⅰで使用する割合(2月以内に納付した場合):特例基準割合+1%(ただし、7.3%を超える場合は7.3%)
Ⅱで使用する割合(2月を超えて納付した場合):特例基準割合+7.3%(ただし、14.6%を超える場合は14.6%)
2019年中の特例基準割合は1.6%です。
したがって、2019年中の延滞税の割合は上記にあてはめると、上記Ⅰでは2.6%、Ⅱでは8.9%を使用します。
源泉所得税の納付で気をつけること
源泉所得税の納付を忘れたら、対応のスピードを頭にいれておきましょう。
まず、不納付加算税を意識して1月以内には支払う。
次に、高い方の延滞税の割合を適用されないように2月以内には支払う。
また、6ヵ月ごとに支払う「納期の特例」を利用は、まとめ払いとなり、払えないようだと、不納付加算税の10万円基準にひっかかってしまうことが多くなると思います。
さらには、元となる本税が6月分ですので、延滞税の総額が高くついてしまいます。
もし、資金繰りに不安があるようでしたら、6ヵ月ごとに支払うより毎月支払う方が賢明です。