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この時期の税理士事務所は、期限(例年7月10日)が迫った源泉所得税の納期の特例の納付書の作成に忙しいです。
私の事務所は、準備を計画的に進めた結果、例年より早く納付書を作成し、クライアント・税務署への郵送を終えることができました。

ところで、クライアント自らが給与計算を行っている場合は、当然毎月クライアントの従業員の給与から差し引く源泉所得税の計算も行っています。

ところが、検算をしてみると端数計算を間違えていることが多いです。
税理士事務所でアルバイト・パート経験がある方でも間違えていました。

原理原則の端数処理の考え方があるのですが、端数処理に迷っても、他人に確認してもらうこともせず、自ら調べてみることもせず、自己流でやっつけ仕事のように処理してしまう方がいます。
本当は猛省を促したいところですが、そもそも問題となる金額が僅少ですから、大きな問題に発展することはありません(笑)

今回は1円未満の端数計算をどう処理するか、というお話です。

国税通則法の基本原則

大原則から説明します。

国税の端数計算は、課税標準については1,000円未満切捨てになります。
課税標準に税率を乗じた金額が税額です。
その計算の結果生じた税額は、100円未満切捨てになります。

ここから例外の話です。

ところが、源泉所得税及び復興特別所得税については、課税標準、税額ともに1円単位まで計算することになっています。

そんな1円単位まである課税標準に税率を乗じて、税額を計算すれば、当然のように1円未満の小数点以下の端数がでてきます。

結論です。
この場合、1円未満の端数が生じた場合は、切り捨てることになっています。

源泉徴収の規定により徴収する所得税の確定金額については、
その確定金額に1円未満の端数があるときは、
その端数金額を切り捨てる。
(国税通則法第119条第2項)(国税通則法施行令第40条第2項第1号)

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端数処理を間違えていたら

小数点未満の端数がでたら、どうするか?

「切り捨て、切り上げ、四捨五入?」

間違えて、切り上げてしまったり、四捨五入の考え方で切り上げてしまった場合は、源泉徴収される従業員の方は、所得税を1円多く差し引かれてしまっていることになります。

結論としては、そのまま源泉所得税の納付をしてよいです。
税務署には若干多く納めることになりますが、納付が不足するよりはマシです。

最終的に、年末調整あるいは確定申告で1年間のトータルの税額を計算しますので、還付されることになります。(結果的に税金が不足になっていない場合に限る。不足の場合は、年末調整で還付が生じませんし、確定申告で不足分を納めることになります。)

だから、問題になることはありません。

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おまけ

税金の端数処理は、国税通則法で定められていますが、根底的なところで以下の法律があります。
私は知りませんでした。

国及び公庫等の債権で金銭の給付を目的とするものの確定金額に1円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てる。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律第2条)

この「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」は、原則として他の法律よりも優先して適用されます。

例外は、国民によく関係のあるところですと、健康保険・社会保険にかかる延滞金、国税・地方税にかかる還付金・過誤納金・還付加算金の計算については適用されません。