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昨今税理士には研修受講義務36時間以上が課されたのですが、私の今年度の研修時間も無事9月前半中に40時間に到達することができました。
だいたい毎年9月末までに30時間弱には到達していましたが、今年度の到達が例年より速かったのも、研修テーマが興味をひくことも大きかったと思います。
研修の企画に携わっている税理士会員の皆様には頭がさがります。感謝。

そんなわけで最近受けた研修のテーマを書き出してみます。

2019年8月8日 青年後見制度と民事信託の実際
 〃 8月21日 相続税の疑問と解説~平成31年度税制改正を踏まえて~
 〃 8月27日 遺産分割協議と遺贈の相続税実務
 〃 9月2日 相続税重要事例の検討
 〃 9月5日 福祉・民法・信託・税務を横断的に組み合わせたクライアントのための財産管理                               と相続の基礎知識
 〃 9月7日 国税不服審判所の概要(審査請求の手続と調査・審理について)

並べてみると、相続の分野が多く、税理士以外のこのブログの読者様からみると偏りを感じるかもしれません。
というのも2019年7月から改正民法が施行され、相続実務にも大きな影響がありますので、税理士会の会員の興味、関心が高かったことから、このような研修テーマが採用されたと言えそうです。

研修を受けた後、民事信託に思うこと

また、近年は将来の相続に備える生前対策のひとつでもある民事信託も実務家の間では話題のテーマになっています。

先日、弁護士、司法書士、税理士と士業だけで飲み会をしたのですが、民事信託は話題にのぼりました。
まだ、実務的運用として判例・裁決といった事例が積み重ねられていませんので、積極的に民事信託を進めている士業は大きなリスクを抱えていると言っても過言ではないと思います。

民事信託の書籍をみても信託契約書の雛形こそありますが、これを汎用的に使用するのは危険だと考えています。
私は税理士なので、税務面では責任を負わざるをえないのですが、あくまで信託の契約に沿った事後処理です。
まずは信託契約書を作成して、署名・押印をもらうのは弁護士、司法書士になりますので、そちらの士業の方は責任重大です・・・。

研修を受けたから言うわけではありませんが、個人的には、民事信託は今後急速に普及が進むのではないかと考えています。

なぜならば、特に親が不動産を保有している場合、親が認知症になってしまいますと、不動産の売却といった法律的手続が進まなくなってしまいます。
昨今、親が認知症になった場合、その親に成年後見人をつけることが多くなっています。
ざっくり言いますと、認知症の親に成年後見人をつけると、成年後見人は不動産の売却しようにも後見人制度の面から制限を受け、家庭裁判所の監視下に置かれてしまいます。
したがって、思うような不動産の処分ができない恐れがあります。

ですから、成年後見人をつける前に親と子が話し合い可能な段階で不動産を信託財産とすることを、選択肢のひとつとしてこのブログの読者に皆様には頭の片隅にでも入れておいて頂きたいと思います。