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関与先名簿の提出は、税理士業務の適正な運営を確保するために国税庁が税務署を通してお願いしているものである。

「税理士業務の適正な運営の確保」とは、わかりやすいところでは、ニセ税理士の排除である。

ニセ税理士をあぶりだすために「関与先名簿」は役に立つと思われる。

税理士事務所で働く者のなかには、残念ながら、ニセ税理士行為を行っている者がいる。
その行為はニセ税理士行為であるという自覚がない者もいる。
もちろん、税理士には、職員を監督・指導する義務があるが、他人である職員を完全にコントロールすることはできない。

実際私が所属した過去の事務所では、私がその事務所で働くことになる以前にニセ税理士行為を行っていたベテラン職員がいたらしい。
その事務所の先生は、税理士会支部の管轄税務署から大目玉をくらったそうだ。
幸いその税理士の先生は、最終的に業務停止などの処分はなかったようだが。
当然ながらそのベテラン職員は、一発レッドカード、解雇になったと聞いた。

噂では、解雇後もそのベテラン職員は、税理士でもないのに、納税者の税務申告の作成を請け負って生計をたてているとか。

ニセ税理士行為をする事務所の職員は、自ら作成した税務申告書に税理士の印鑑を勝手に押印して、税務署に税務申告書を提出している。
(最近は電子申告がずいぶん普及してきたことにより、税務署への書面提出を利用したニセ税理士行為は少なくなってきているとは思うが)
実際は印鑑の管理がおざなりな事務所環境のところも、少なくないのではないだろうか。

先のベテラン職員が作成した納税者の税務申告書にも、税理士印が押されており、当の納税者もてっきりその税理士事務所に依頼したつもりでいたそうだ。
(その後私がその納税者を担当として引き継いだ。)
申告書作成報酬は、ベテラン職員が現金回収して自らの懐に入れていた。

ところが、その納税者に税務調査が実施されることになったため、税務署から税理士に電話連絡があり、身に覚えのないクライアントであったことから、ベテラン職員のニセ税理士行為が発覚することになったようである。


もし、ニセ税理士行為を行っている職員に関与先名簿を作成させようものならば、税理士の預り知らぬところで勝手に税理士の名前を使われて提出されているクライアントまで関与先名簿に記載されてしまうに違いない。

だから、税理士自らが関与先名簿を作成して提出する必要がある。
税務署内で関与先名簿と税務申告書との突合を可能にすることで、ニセ税理士をあぶりだすことが可能になるからである。