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関東平野のほぼ中央で育ち、我が事務所もさいたま市内にあるため、自然災害のなかでも土砂災害とは無縁だと思って過ごしてきました。

ところが、実はさいたま市内であっても土砂災害の警告地域として指定、公表されている地域があることを知り、非常にショックを受けました。

今回は新通達「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」をざっくり解説します。

土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

この通達は2019年1月から適用開始になります。

財産評価基本通達20-6(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)

土砂災害特別警戒区域内となる部分を有する宅地の価額は、
その宅地のうちの土砂災害特別警戒区域内となる部分が
土砂災害特別警戒区域内となる部分でないものとした場合の価額に、
その宅地の総地積に対する土砂災害特別警戒区域内となる部分の割合に応じて
付表9「特別警戒区域補正率表」に定める補正率を乗じて計算した価額によって評価する。

読みにくいので、理解を優先すると、以下のような感じになります。

財産評価基本通達20-6(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)

宅地のうち土砂災害特別警戒区域内となる部分がある場合には、
その宅地の路線価評価額
所定の補正率を乗じて計算する。

上記の赤文字の順に説明していきます。

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土砂災害特別警戒区域の確認

特別という文言がついているからには、区別がされていると予想がつきますね。
標準(?)にあたる土砂災害警戒区域があります。

地方自治体は、以下のように2つを区別しているようです。

イエローゾーン:土砂災害警戒区域
レッドゾーン:土砂災害特別警戒区域

区域の確認方法は、都道府県、市町村のHPで公開されています。
残念ながら、イエローゾーンの地域はこの通達の適用対象外になります。

ちなみに、埼玉県内の土砂災害警戒区域はこちらから確認できます。

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路線価地域と倍率地域で違う?

通達本文からは、読み取れませんが、この通達「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」の適用は、相続税評価において路線価が適用される土地の評価に限ります。

なぜならば、相続税評価において倍率地域が適用される土地の場合、固定資産税評価額に倍率を乗じて評価します。
土地の利用制限による生ずる減価は、市町村によって既に固定資産税評価額において考慮済み(?)だからのようです。

私見を述べると、全国くまなく「考慮されているとは思いませんけど・・・」

この辺の解説は、国税庁HP内のPDFを参考にしています。

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所定の補正率のしくみ

所定の補正率は、その評価しようとする宅地が「特別警戒区域内」にあるか、さらに「がけ地を有する」場合もあって、補正率が変動します。

・特別警戒区域補正率
・特別警戒区域補正率×がけ地補正率(小数点以下2位未満切捨て)(最小値0.50とする)

最小値が0.50ということは、評価減は最大50%までということになります。

これまで国税庁としては、問題ある土地については40%の評価減まで許容していましたが、50%まで認めることにしたのは良い傾向と言えるでしょう。

あとがき

近年集中豪雨が多くなってきたところ、この新しい通達が公表された。
対応が遅い気がするが、このような通達の発遣は、土地の時価を下げ、不動産の売買に影響を与えるものでもある。
とはいえ、地方自治体もハザードマップを公開するなど、何か災害があってときは地方自治体の責任が問われるわけである。
したがって、国も地方自治体も、税収減とか不動産業者からの苦情なんか気にしていられない事態となっている。

一度自分の住まい、購入検討の地域のハザードマップ等を確認してみることをお勧めします。