毎年10月になると、ノーベル賞の授賞者が発表されます。
近年は日本人の受賞者が多く、嬉しい限りです。
毎年村上春樹さんのノーベル文学賞は?と個人的に関心を持っています。
ノーベル賞の賞金が非課税だということは、税理士の受験講座の講義で聞いていたので知っていました。
では、数学のノーベル賞と呼ばれるフィールズ賞はどうなの?
と個人的に疑問に思いましたので調べてみました。
ついでに、京都賞、アーベル賞の賞金の税金についても調べ、意外なことがわかりました。
♦目次♦
有名な賞の賞金の取扱い
ノーベル賞(経済学賞を除く)
ノーベル賞の賞金は、発明家アルフレッド・ノーベルが残した財産からなるノーベル基金を原資としています。
ノーベル賞は、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の6賞から構成されています。
そのうち、経済学賞を除く5賞がノーベル基金から授与されます。
ノーベル賞のうち物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞の賞金は、所得税上「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」*1に該当するため所得税が課税されません。
*1 所得税法第9条第1項第13号ホ
ノーベル経済学賞
ノーベル経済学賞の賞金は、ノーベル基金からではなく、スウェーデン国立銀行から拠出されています。
したがって、ノーベル経済学賞の賞金は、所得税上「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」*に該当しないため、我が国では所得税が課税されることになります。
*1 所得税法第9条第1項第13号ホ
京都賞
京都賞とは、京セラの創業者稲森和夫氏が設立した稲盛財団によって創設され、先端技術科学部門、基礎科学部門、思想・芸術部門の3部門から構成されています。
その賞金は、1億円(2017年までは5千万円)です。
iPS細胞の山中伸弥さん、映画の黒澤明監督などが受賞されています。
京都賞の賞金は、所得税上「財務大臣の指定するもの」*2として我が国では所得税は課税されません。
*2 所得税法第9条第1項第13号ニ
フィールズ賞
フィールズ賞は、数学のノーベル賞と呼ばれる賞です。
特徴的なのが、4年に1度、年齢40歳以下と非常に狭き門であることです。
ところが、賞金わずか約130万円(15,000カナダドル、2021年10月の為替相場)と驚きの少なさです。
日本人では、2021年現在3人の受賞者がでています。
フィールズ賞の賞金は、所得税上「財務大臣の指定するもの」*2として我が国では所得税は課税されません。
*2 所得税法第9条第1項第13号ニ
アーベル賞
アーベル賞は、数学の賞です。
フィールズ賞と比較すると、1年に1度とノーベル賞に近い性格のものになっています。
その賞金は、約1億円です。
まだ日本人の受賞者は現れていません。
アーベル賞の賞金は、所得税上「財務大臣の指定するもの」*2に該当しないため、我が国では所得税が課税されることになります。
*2 所得税法第9条第1項第13号ニ
ひとこと
ノーベル経済学賞、アーベル賞も日本人では受賞者はでていませんが、
仮に受賞者がでれば、後追いで非課税になるよう講じられると思います。
具体的には、財務省告示によって非課税と改正されるはずです。
根拠法令
*1 所得税法第9条第1項第13号ホ
*2 所得税法第9条第1項第13号ニ
上記法令は以下を参照
(非課税所得)所得税法第9条第1項第13号
イ ~ ハ (省略)
ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして
又は
顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして
国、地方公共団体
又は
財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(・・・省略・・・)で
財務大臣の指定するもの ➡ 最終改正平成21年3月31日財務省告示第106号・最終改正平成23年4月27日財務省告示第142号
ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ 外国、国際機関、国際団体
又は
財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品で
イからホに類するもの(・・・省略・・・)のうち
財務大臣の指定するもの ➡ 最終改正平成23年4月27日財務省告示第142号
上記「財務大臣の指定するもの」を、なかなか見つけることができずに苦労しました。