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2021年は、持続化給付金の詐欺事件に関わる税理士、国税職員の存在が報道されています。
そんななか、久しぶり(?)に古くからある脱税スキームに加担した税理士のニュースがありました。
ニュースのなかでは、脱税犯はコンサル会社社長であり、税理士は目立っておらず、報道の在り方として疑問を感じます。

今回は、私見ながら表のニュースでは語られない背景を語ります。

事件の概要

(2021年9月某日のニュースより)
経営コンサルティング会社「トーマスコンサルティング株式会社(千葉県市原市)」は、顧問先の赤字法人に協力を求め、同じく顧問先の黒字法人の顧問先の税逃れを指南した。
東京国税局の税務調査により、このグル全体は7年間で約20億の所得隠しを指摘された。

グルたちの税務申告は「トーマス税理士法人(千葉県市原市)」が行っていた。
トーマス税理士法人は、国税局OBの3人の税理士で構成されていた。
税務調査の開始後、3人の税理士は自ら税理士登録を抹消した。

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首謀者たちの背景にあるもの

トーマスグループについて

国税庁の法人番号公表サイトで調べたところ、トーマスコンサルティング株式会社とトーマス税理士法人の所在地は全く同じでした。
つまり、グループ会社であることは明らかです。

トーマスコンサルティング株式会社の代表は、常住静男(2020年11月死去)。
トーマス税理士法人の社員税理士は、須藤襄、寺松正陽、吉岡正範。

グループの実質的支配者は、常住氏であったとされています。
思うに3人の税理士は常住氏の子分に違いありません。

しかも「トーマス」とは・・・。

税理士業界には、著名なトーマツ税理士法人、トーマ税理士法人(正式名称はTOMA税理士法人)があります。
税理士法人以外にもトーマツコンサルティング、TOMAコンサルタンツが存在します。

いかにも情報に疎い納税者の誤認を狙っているような名付けをしていますね。

税理士の懲戒処分逃れ

税理士が顧問先の不正に関与すると重い処罰が下されます。

今回のトーマスグループの事件は、子分が親分に逆らえず不正を知った上で、虚偽の税務申告書を作成したということになります。
これは、当然懲戒事案になります。

ところが、懲戒処分を回避する裏技があります。

懲戒される前に、自ら税理士登録を抹消するのです。
税理士資格を剥奪されない限り、将来また税理士登録をすることが可能なのです。

トーマス税理士法人の3人の税理士は、懲戒処分を避けるために、あえて税理士登録を抹消したのです。

実は、税理士の懲戒逃れ事案はたくさんあります。
毎年あるといっても、言い過ぎではありません。
皆さん、目を凝らしてニュースをみていただきたいです。

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おわりに

推察するに常住氏も国税OBかと思います。
須藤氏、寺松氏、吉岡氏は、常住氏の国税時代の部下だったのでしょう。
国税組織は、上下関係が厳しいです。
1つ期が違うだけで、先輩には頭があがらないそうです。

常住氏は知能犯でもなんでもなく、稚拙なスキームを指南していました。
税理士ではなく唯のコンサルという立場であれば、無知な納税者に無責任な指導を行って暴利をむさぼり、身が危うくなったら行方をくらませることが可能です。
しかも、後始末は子飼いの税理士に任せて。
税理士は、氏名、所在地が公表されているので逃げられません。

個人的には、国税退官後も歪な上下関係が続いていることに違和感を感じます。