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9月は税理士試験対策の専門学校の講座を申し込む者が最も多い時期になるかと思います。
初めて税理士試験を受ける方に、受験勉強の過酷さが伝えられれば幸いです。

特に仕事と受験勉強の両立を目指す方に読んでいただければと思います。

受験予備校のパンフレットは信用するな

TAC・大原のパンフレットには、税理士試験の各科目の標準学習時間は、以下のように記されています。

法人税法・所得税法600時間
簿記論・財務諸表論・相続税法450時間
消費税法350時間
固定資産税250時間
事業税・住民税200時間
酒税法・国税徴収法150時間

これはゼッタイ信じないで下さい。

実はこの勉強時間の目安は、20年以上変わっていません。
推察するに直近30年は、変わっていないと思います。

この30年間に何があったかを説明します。

度重なる税法の改正があり、その都度テキストのボリュームは厚みを増してきました。
筆者が受験生だった頃、その厚みは3倍になったと言われていました。
あれからさらに時を経ていますので、今や4倍に届いているかもしれません。

しかしながら、専門学校のコマ数は昔から全く変わっていません。
学習しなければならない内容が増えたにも関わらず。

最も利用されるであろう初学者対象の税理士試験講座(法人税法・所得税法・相続税法・簿記論・財務諸表論)は、3時間を1コマにして、1年弱の間に約80コマでカリキュラムを組んでいます。
昔からコマ数は変わらないのですが、1回あたりの消化すべき講義内容はどんどん増えています。
講師は工夫して講義を進めていても時間内にテキストを説明することが難しくなっており、講義の延長はかなりあります。
もちろん昔の受験生と比べて今の受講生は、テキスト量が多くなった分を復習するために必要な時間を確保しなければなりません。

そうすると、どうしてもTACや大原のパンフレットに記載されている勉強時間ではとても足りないのです。

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講師の言う事を真に受けるな

通おうと思っている、あるいは現在通っている専門学校の講師に、税理士試験に関する相談をする人は多いと思います。
ハッキリ言って、講師は厳しいことはあまり言いません。
受講生を応援する立場だから当然かと思います。

でも、考えてみて下さい。

TACや大原は、慈善事業ではなく営利を追求する組織です。
講師は、営利事業体で働き、お金をもらっている人達です。
営利事業体に利益を誘導するのが彼らの立ち位置です。

これから税理士試験を目指そうとしている者には、合格という結果を期待させる言葉を投げかけます。
講座の途中で弱気な受講生には、背中を押す言葉をいいます。

とにかく本試験の直前までは講義についてきてもらわなければ、合格の可能性はなくなってしまいます。
自分が担当するクラスの合格者が少なければ、当然その講師の評価はマイナスになります。

一方で、多くの合格者を出せれば、それら受講生の多くは次の年も継続して自社を選んでくれる大事なお客様になるのです。
だから講師の評価も当然プラスになります。

講師が優しい言葉で受講生を導いてくれるのは、少しでも合格の可能性のある受講生を本番前に脱落させないためです。

だからこそ、講師の甘い言葉を鵜呑みにせず、自分に厳しく取り組んでいく必要があります。

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簿記論・財務諸表論ダブル合格に必要な勉強時間

受験予備校のパンフレット、講師が教えてくれない残酷な現実を教えます。
あくまで以下は筆者の私見です。

簿記論の合格ラインは、多くの人の場合1,000時間を超えてから。
かなりセンスのある人で500時間かと思います。
財務諸表論の合格ラインは、簿記論合格ラインの人で理論対策にさらに500時間。


つまり、1年間で簿記論・財務諸表論ダブル合格を目指す初学者は、本試験までに1,500時間の勉強時間を確保できるか否かで判断するのがよいと思います。

税法合格ラインに到達するまでの勉強時間については、個人の能力の要素が大きいので一概にはいえないです。