法律、契約書には、いろいろと期間が定められています。
期間を間違えてしまうと大変なことになってしまいかねません。
弊社で請け負っている法人の清算の案件があります。
その清算法人の残余財産の確定日が1月29日になりました。
清算の法人税の申告期限は残余財産確定の日から1ヶ月以内になります。(例外あり)
一瞬、申告期限が何日までか不安になり、理論的なところを再確認しましたので、記事としてまとめておきます。
♦目次♦
期間の計算のために押さえておく用語
期間とは、ある時点からある時点までの継続した時の区分をいいます。
税務では、何時間以内といった期間を考えることはないのですが、何日以内、何月以内、何年以内といった文言が使われています。
期間には、日を基準とする期間と週、月、年といった暦を基準とする期間があります。
日を基準とする場合は、日数をそのまま数えます。
ところが、月を基準とした期間は、28(29)、30、31日の月があるため、いちいち日数換算したりしません。
そこで、期間を正確に把握するために、押さえておく用語があります。
- 起算日
- 応当日
- 満了日
起算日
期間の開始日を起算日といいます。
まず、起算日を確認するのが重要なのですが、起算日の初日不算入の原則があります。
つまり、期間が日・週・月・年で定められている場合は、期間の初日は計算せずに、その翌日を起算日とします。
民法第140条
日、週、月又は年によって期限を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
応当日
期間を定めるのに月・年が使用されている場合には、暦によって計算します。
月・年を日数に換算しないで、あくまで起算日(〇月×日)から何月後、何年後の同じ数字の日(×が同一の日)を応当日といいます。
(例)
起算日・・・・・・・ 2001年8月8日
2か月後の応当日・・・2001年10月8日
2年後の応当日・・・・2003年8月8日
満了日
一日の終了時点(午後12時)が期間満了の時点になります。
それゆえに、満了日は、応当日の前日と民法で定められています。
起算日、応当日、満了日が同じ条文に振られています。
民法第143条
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、
その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、
最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
まとめ~1月29日から1ヶ月以内はいつまでか?
初 日 → 1月29日
起算日 → 1月30日
応当日 → 2月30日(暦にない!)
満了日 → 2月28日(うるう年のときは2月29日)(民法第143条第2項ただし書)
つぶやき
実際遭遇する税務の申告期限は、応当日と応当日が土日に当たれば月曜日になることを意識していれば、問題ないことがほとんどです。
期間計算の仕方は、かつて税理士試験の受験講座で習った記憶があります。
たしか1日戻るのだったような気がする・・・と。
古い相続税法のテキストを見返してみて、期限内申告・期限後申告の箇所で習ったようでした。
相続税法は民法の存在が前提にあって作られており、テキストの最初の方民法関連ですので、そこに掲載されているものと勘違いしていました。
期間計算の仕方は、相続税法のテキストでしか触れられていないのではないでしょうか。
少なくとも法人税法、所得税法、消費税法で習った記憶はありません。
相続税の仕事をする税理士は約30%というところでしょうから、単純計算だと税理士の約70%は知らずに仕事をしていることになりますね・・・。