交際費に関しては、クライアントの関心が高いせいか、質問を受けることがよくあります。
当然クライアントに対して、飲食の場で飲食費をすべてこっち側で負担したら、交際費になるのは疑いのないところです。
対して、飲食費を割り勘にしたら、自分(自社)の負担分は交際費になるのか?
そんな疑問が沸くかもしれません。
割り勘については、通達で想定されており、結論としては交際費として認められます。
♦目次♦
割り勘を想定している通達
以下の通達が割り勘を想定しているものです。
措置法通達61の4(1)-23《交際費等の支出の方法》
措置法第61条の4第4項に規定する法人の支出する交際費等は、
当該法人が直接支出した交際費等である
と
間接支出した交際費等である
とを問わないから、
次の点に留意する。
(1) 2以上の法人が共同して
接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為をして、
その費用を分担した場合においても
交際費等の支出があったものとする。
(2)省略
(3)省略
「直接支出した」の文言からは、飲食店に対して自社持ちで代金の支払いを行ったことをイメージできるでしょう。
「間接支出した」の文言から、飲食の参加者からお金を取りまとめて、参加者の誰かが代表して飲食店に代金を支払う場面を想定していることが分かるのではないでしょうか。
直接、間接を「問わない」のであるから、飲食代が割り勘であっても交際費に該当することになります。
割り勘にして領収書がない場合
飲食店に遠慮して、飲食費の総額を分割した領収書をもらわないという方もいますよね?
金銭が仲介する取引を確認するためにも領収書の交付、保存は、会社の法人税、消費税の税務上欠かせないものになります。
逆に考えてみてください。
領収書の無い経費をすべて認めていたら、税金の計算の正当性や客観性を税務当局は検証することができません。
そうなると、課税の公平が保たれず、法人税を支払う会社が存在しない世界になってしまいます。
したがって、まずは領収書をもらうことを大事にして欲しいと思います。
それでも、領収書をもらうことを忘れてしまったら、何らかの記録を残しておくことが肝要です。
まだ、経費(損金)として認められる余地があるかもしれないのですから。
つまり、記録の信憑性を高めておくためにも日頃の精緻な記帳、資料作りが大事になります。
割り勘を取りまとめてクレジットカードで支払う場合の問題点
キャッシュレス時代に突入しようとしています。
クレジットカードは日常的な代金決済の手段になり、当然飲食代の決済にも利用できます。
割り勘の各負担者は、クレジット利用のレシートとは別に領収書の交付を受けることが可能です。
その一方で、割り勘をとりまとめて代金を支払う代表者がクレジットカードを利用した場合は、カード会社からの請求により銀行等から引き落とされることになります。
この盲点を利用して、実際の支払い額より交際費を過大に計上することがカンタンになってしまいます。
この点、経理担当者による使用状況の把握、管理、チェックに神経を使う展開が予想され、事務負担という点ではハッキリ問題があります。
ですから、割り勘をする場合、できればクレジットカードは使って欲しくないというのが本音です。