昨今、ある大臣の号令で省庁でのハンコ廃止の流れができあがってきています。
法律としてハンコが必要であったことは、なかなか国民の知るところではなかったのではないでしょうか?
個人的には、行政手続の無駄を図るためには良いことのように感じますが、少し急な感じもします。
我が会計・税務業界においても、外国人が確定申告しなければならないケース、国税還付を希望するため確定申告をするケースが増えてきています。
そこで、外国人も確定申告書にハンコを押さなければならないのか?という疑問をもつ方もおられるのではないでしょうか?
日本人の苗字と違って外国人のファミリーネーム、サーネームは文字が長いですから面に収まるのかな?と、そんな心配を昔の私はしていました(笑)。
結論は、外国人の提出する確定申告書にハンコは要りません。
♦目次♦
国税の捺印に関する法律
税務署に提出する書類には、押印が必要と法律で定められています。
国税通則法第124条(書類提出者の氏名、住所及び番号*の記載等)
第1項
国税に関する法律に基づき
税務署長その他の行政機関の長又はその職員に
申告書、申請書、届出書、調書その他の書類(以下「税務書類」)を提出する者は、
当該税務書類に
その氏名、住所又は居所及び番号*を記載しなければならない。
第2項
税務書類には、
次の各号に掲げる場合の区分に応じ、
当該各号に定める者が押印しなければならない。
一 当該税務書類を提出する者が法人である場合⇒当該法人の代表者
二 納税管理人又は代理人によって当該税務書類を提出する場合⇒当該納税管理人又は代理人
三 不服申立人が総代を通じて当該税務書類を提出する場合⇒当該総代
四 前三号に掲げる場合以外の場合⇒当該税務書類を提出する者
*「番号」とは、マイナンバーのこと。
外国人の署名捺印に関する法律
日本の役所に提出する書類には、署名・捺印が求められますが、外国人は署名のみでOKと税金に関する法律とは全く別の法律で定められています。
したがって、外国人が提出する税務署への書類も署名のみで問題ありません。
(法律原文はカタカナ交じりの文語体ですが、分かり易くするためにこのブログでは、ひらがな表記にしています。)
外国人の署名捺印及無資力証明に関する法律第1条
第1項
法令の規定に依り署名、捺印すべき場合においては外国人は署名するをもって足る
第2項
捺印のみをなすべき場合においては外国人は署名をもって捺印に代わることを得
おまけ 外国人が提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」の捺印
外国人が日本で働いて給料をもらう場合、勤め先から「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を求められることがあります。
この申告書は、法律上は税務署に提出するのですが、実務上は税務署ではなく勤め先に提出します。
「官」ではなく「民」に提出する書類なので「ひょっとしたら外国人でもハンコが必須かもしれない」と疑問に思う方がいるかもしれません。
結論としては、外国人が記載する「給与所得者の扶養控除等申告書」は、捺印を省略してOKです。