法人を設立した後のご相談者からよくあるのが、実は法人設立する前から営業活動をしていて経費が結構かさんでいる、という事態です。
なかには、法人設立前なのに売上まで得ているケースもあります。
そんな場合どうするか、法人設立日前の売上、費用の取扱いを解説します。
♦目次♦
法人の設立期間中の損益の確認規定がある
法人設立日は、法人登記申請日、すなわち登記書類を提出した日になります。
つまり、法人設立期間中とは、法人設立日より前の日以前の期間を指します。
結論から言ってしまうと、法人設立日より前に生じた売上、経費(これらをまとめて「損益」と括ります)は、法人税基本通達を根拠として設立した法人の損益とすることが可能です。
法人税基本通達2-6-2(法人の設立期間中の損益の帰属)
法人の設立期間中に
当該設立中の法人について生じた損益は、
当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて
申告することができるものとする。
ただし、・・・(後段省略)
例外:認められない場合
個人事業から法人に移行する途中の場合
実務上、個人事業から法人成りするケースは多いです。
このケースですと、法人設立日より前に生じた売上、経費は、法人に帰属させることができず、従来からある個人事業の売上、経費として処理します。
先に示した法人税基本通達の後半、ただし書以降の文言から確認することができます。
法人税基本通達2-6-2(法人の設立期間中の損益の帰属)
(前段省略)
ただし、
設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益
又は
当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益
については、この限りでない。
法人設立準備が通常と比べてもあまりにも長すぎる場合
法人税基本通達2-6-2(法人の設立期間中の損益の帰属)
(前段省略)
ただし、
設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益
又は
当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益
については、この限りでない。
こちらは、レアケースを想定している取扱いだと思います。
真っ当な人物でしたら、自己のビジネスをアウトローとしてやる意思がない限り、いつまでも法人設立を先送りにしない感性を持っているはずです。
したがって、通達では警告の意味合いで置かれている文言かと思います。