広告

前編に引き続き「事業主貸」「事業主借」の素朴な疑問を解説します。
会計ソフトを利用しての「事業主貸」「事業主借」について、初心者が実践を通じてハテナ?になる、よくある疑問をカンタンに解説します。

「事業主貸」「事業主借」の決算時の振替処理は?

前編において、「事業主貸」と「事業主借」の勘定は相殺しないと解説しました。
したがって、期中はもちろん、決算時の決算整理においても相殺する必要はありません。
結果として「事業主貸」「事業主借」はそのまま貸借対照表に残すことになります。

確定申告書とあわせて提出する青色申告決算書の貸借対照表にも、「事業主貸」「事業主借」の金額を記入する欄がありますので、いずれかの勘定科目に振替処理する必要はないのです。

広告

会計ソフトを繰越処理したら、「事業主貸」「事業主借」勘定の金額が翌期に引き継がれてこないのですが?

「事業主貸」「事業主借」勘定の金額は繰り越されません。
当期末の「事業主貸」「事業主借」勘定の金額は翌期の期首の「元入金」に組み込まれます。

確定申告書とあわせて提出する青色申告決算書の貸借対照表にも、「事業主貸」「事業主借」の期首の欄には斜線が引いてあります。
したがって、「事業主貸」と「事業主借」の期末残高は、翌期の期首残高として繰り越されないものだと確認できます。

広告

「元入金」と「事業主貸」「事業主借」の関係は?

関係?と問われたら、切っても切れない関係です(笑)

前問に関連して、会計ソフトを翌年に繰り越した場合の翌年期首の「元入金」は、以下の算式で計算されます。

(算式)翌年期首の元入金 = (本年末の元入金) + (本年の青色申告特別控除の所得金額) + (本年末の事業主借) - (本年末の事業主貸) 

算式の右辺の項目のうちいずれか1つ、2つをゼロとして計算してみるとイメージが膨らみやすいです。
元入金は事業の元手のお金であり、事業主貸・事業主借は事業の元手から離れていったお金、元手に加えたお金とイメージしてもらえれば十分です。

ちなみに青色申告決算書の貸借対照表の「元入金」の期首と期末の欄には、同じ額を記載することになります。

広告

なぜ、個人事業の通帳の利息は「受取利息」勘定ではなく、「事業主借」勘定を使用するのか?

個人の受取利息は、所得税法上は「利子所得」に該当します。
会計ソフトで「事業所得」か「不動産所得」の集計している場合、これら目的の所得以外の所得に関連するものは集計から除く必要があります。
したがって、利子所得である預金の利息は、集計目的以外の所得ですから「事業主借」勘定を使用します。

簿記を学んだ人は、法人経理を前提に学んできているため、会計事務所でも新人はまずマチガイをするところになります。
会計事務所でも所得税の知識が十分ある者は少ないので、新人さんはもちろん、残念ながらベテランでも説明できない方がいます。