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2022年になりました。

元旦から税理士に関する事件がニュースになっています。

元旦の日は、神戸市の公園で茨木市の税理士が自殺したニュースがありました。
34歳という若さでした。
何があったのでしょうか。。。
ご冥福をお祈りいたします。

1月中頃には、独立前の勤務先から不正に顧客データを窃取し顧客を奪ったとされ、京都市の税理士が逮捕されました。

また、広島県の社会福祉法人を介した東京都の元公認会計士の事件も話題になっています。
この人物は過去に税理士登録もしており、懲戒逃れのため公認会計士及び税理士登録を自発的に抹消したものと思われます。

今回は、一番身近に起こりそうな事件として、顧客データ持ち出しで税理士が逮捕された事件について筆を執りたいと思います。

顧客情報持ち出しで京都の税理士が逮捕される

事件の経緯

登場人物:税理士A、アルバイトB、税理士法人C

税理士AとそのアルバイトBは、京都市の税理士法人Cに勤務していた。

  • 2020年6月 Cの顧客情報を、AとBは共謀してハードデイスクにコピーした。
  • 同年6月末 AとBは税理士法人Cを退職。
  • 同年夏   Aは自身が主宰する税理士事務所を開設。その事務所にBも勤務。
  • 同年10月  Cの顧客から解約が相次ぐ。
  • この間   不審に思ったCはパソコンの操作履歴など内部調査を進める。
  • 2021年3月 Cが警察に相談。
  • 2022年1月 AとBを不正競争防止法違反(営業秘密の領得)及びマイナンバー法違反(個人番号の取得)で逮捕。

事件の背景

独立を画策する税理士Aが同僚であったアルバイトBに協力を仰いだ格好です。

独立当初は、顧客が少なければ、当然のことながら自身の収入も多くないです。
そこで、独立後に自らの顧客としたい企業・個人事業主を10社程度を選りすぐっていたようです。
優良顧客になりそうな企業・個人事業主への営業活動のために、Cから顧客データを盗んだものとみられます。

マイナンバー法違反は想定外?

今回税理士AとアルバイトBは、不正競争防止法違反(営業秘密の領得)とマイナンバー法違反(個人番号の取得)で逮捕されました。

筆者の推測になりますが、税理士法人Cは、職員が通常使用するパソコンとは別に顧客情報を管理しているパソコンを用意していたようです。
そのパソコンへのアクセス権限を税理士Aは持っていたといいます。

税理士Aは、アルバイトBにそのパソコンにある顧客情報を外付けハードディスクにコピーして持ち出しをさせました。
その顧客情報には、その顧客企業で働く従業員のマイナンバー情報も含まれていました。

税理士法人Cから顧客を奪うのが目的でしたら、従業員のマイナンバー情報なんか必要ないはずです。

おそらく、税理士業務の経験の浅いBには、そのことに思いが及ばなかったのではないでしょうか。
まあ、違法コピーする立場でしたら、その場で情報を取捨選択している余裕はなかったとも考えられます。

ですから、税理士Aにとって、Bが個人のマイナンバー情報まで持ち出してしまったことは想定外だったのではないか、と思うわけです。
または、マイナンバー情報とそれ以外顧客情報のデータが不可分の造になっていた、なんてこともあり得ます。

どちらにしても、マイナンバー法違反つきでの逮捕は、当該逮捕事例も少ないため、Aの想定外だったではないかと思います。

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税理士業界に与える影響

退職する職員に顧客を奪われる話は、昔から業界ではよくある話です。

ただ、それが逮捕までに至ったケースは聞いたことがありませんでした。
本来なら、不正競争防止法違反となるケースも数多かったはずです。

良い前例できたと思っている事務所の主宰税理士も多いと思います。

独立しそうな従業員に「顧客持ち出しで逮捕されたケースがあった」と注意喚起すれば、少しは抑止力になるかもしれません(笑)。